- ジオン注射療法とは
- 日帰りのジオン注射療法の内容
- ジオン注射療法の特徴
- ジオン注射療法の効果
- 治療後の経過と注意点
- ジオン注射療法の副作用
- 治療後の排便について
- 早期に治すためにお守りいただきたいこと
- 痔の再発防止のために
- 治療費用
ジオン注射療法とは
ジオン注射療法は、内痔核を切開する必要がなく、注射のみで改善が期待できる治療法です。
そのため、日帰りで治療が受けられ、痛みもほとんどありません。
最近では、この治療を検討されている方が増加しています。
ただし、この治療法は、注射する位置や深さ、角度を的確に判断して、使用する薬剤の量も適切でなければいけません。
そのため、「四段階注射法」と呼ばれる高い技術を持つ医師だけが行うことができます。
治療できる痔
肛門の中にできる内痔核の治療に対応しています。
肛門や直腸の周りには、肛門を自然に閉じる役割をする組織があります。
この組織は、多くの血管が集中しており、肛門に負担がかかると血管が太くなり、静脈瘤のように膨らんで痔核となります。そのため、長時間の同じ姿勢、排便時のいきみ、体の冷えなどに注意する必要があります。
内痔核は、知覚神経がない場所にできるため、痛みを感じません。
しかし、便が痔核付近を通る際に接触すると出血し、さらに症状が進むと排便のいきみで内痔核が脱出するようにもなります。
内痔核は、最初の内は脱出しても、自然と戻りますが、次第に指で押し込まないと戻らなくなります。
さらに悪化すると、押し込んでも戻らなくなるので、症状に気付いたら早めに病院を受診しましょう。
日帰りのジオン注射療法の内容
ジオン注射療法は、痔核1つあたり4ヶ所に注射し、複数の痔核かあっても一回で治療できます。
注射の順番は、まず痔核の上の粘膜下層、次に痔核の中央の粘膜下層、痔核の中央の粘膜固有層、そして痔核の下の粘膜下層で、4段階に分けて注射していきます。
使用する薬剤は、硫酸アルミニウムカリウム水和物(痔核の脱出や出血を抑える効果が期待できる)と、タンニン酸(硫酸アルミニウムカリウム水和物の働きを促す)です。
この薬剤を注射することで翌日に出血の減少が見られ、内痔核の脱出も次第に落ち着いていきます。
その後1週間~1ヶ月程度で、徐々に痔核が小さくなり肛門周りの腫れも落ち着いてきます。
そして、痔核の周りの組織が通常の状態に戻ると脱出はなくなってきます。
内痔核は知覚神経がない場所にできるので痛みを感じません。この治療では切開をしないため、出血量も少量で済みます。
また、日帰り手術にて行われるため、注射終了後に院内で2時間ほど休んでいただければ、そのままご帰宅いただけます。
ジオン注射療法は内痔核向けの治療なので、外痔核の場合は別の治療で対応いたします。
薬剤
硫酸アルミニウムカリウム水和物 | 痔核の脱出や出血を改善させる薬剤です。 |
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タンニン酸 | 硫酸アルミニウムカリウム水和物の効果をより引き出す働きをします。 |
上記の2つの薬剤を合わせてALAT(アルタ)とも呼びます。
ジオン注射療法の特徴
治療に痛みが伴わない
内痔核は知覚神経が通っていない直腸付近にできるため、注射による痛みはありません。
四段階注射法
痔核1つに対して、4ヶ所に注射します。
痔核の上の粘膜下層、痔核の中央の粘膜下層、痔核の中央の粘膜固有層、最後に痔核の下の粘膜下層の順に、それぞれの部位にしっかり薬剤が効くように注射していきます。
複数の痔核にも対応可
痔核が複数ある場合でも治療できます。
入院せずに日帰りで手術できる
手術が終わったら、30分ほど院内のリカバリー室で安静にしていただきます。
その後、特に問題がなければ帰宅することができます。
ジオン注射療法の効果
治療後〜翌日
治療した翌日には出血が少なくなり、脱出も改善していきます。
〜1ヶ月後
痔核が縮小し痔核の周りにある組織も正常に戻っていきますので、脱出も落ち着いてきます。
1ヶ月後〜
出血や脱出が起こらなくなります。腫れていた肛門周りの状態も良くなっていきます。
治療後の経過と注意点
1治療
排便後、治療を開始します。
2安静
治療後は少しの間安静にする必要があるので、院内のリカバリー室で30分くらい安静にしていただきます。
経過が良好の場合、ご帰宅していただけます。
3お家での過ごし方
お家では安静にお過ごしください。
4治療した翌日
翌日に経過観察と残りの処置、軟膏の処方を行うので再度病院にお越しいただきます。
51週間後
経過を見るために来院していただき、状況に応じて処置を行います。
患部の治り具合を見て、次に来院していただく間隔を決定します。
61〜3ヶ月後
痔核が小さくなっていれば治療は終わりです。正しい生活習慣を身に付けて、再発しないように心がけましょう。
ジオン注射療法の副作用
当日 | 吐き気、下腹部痛、血圧低下、むかつき |
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翌日 | 肛門辺りに違和感が現れますが、数日経つと消失します。 |
1週間 | 注射した皮膚が硬くなります。ほとんどの場合、時間が経つと改善します。 |
1~3週間 | 炎症が生じ、少しの間発熱する場合があります。解熱剤を服用していただきます。 |
1ヶ月~1年 |
注意事項などは特にありませんが、何か不安な点がありましたら、お気軽にご相談いただければと思います。 |
治療後の排便について
- 治療した当日は、排便しても問題ありません。しかし、強くいきみ過ぎないようにして、5分以内に済ませましょう。
- 治療が終わってから約3ヶ月は、少量の血が出る可能性がありますので注意が必要です。
- 排便の異常(便が全然出ない、排便はあるが量が少ないなど)が現れた場合、早めに当院にご連絡ください。
早期に治すためにお守りいただきたいこと
入浴
治療した当日はシャワーで済ませていただき、翌日からお湯に浸かるようにしてください。
食事
約2~3週間は刺激の強い香辛料などは控えていただきます。
飲酒
医師の許可が出てからお酒を飲むようにしましょう。
お仕事
重いものを持つ仕事の方は医師の指示に従って仕事復帰してください。
デスクワークの方は、治療した翌日にはいつも通り仕事を行っても問題ありません。
運転
肛門に負担がかかる乗り物(自転車、バイクなど)の運転は、約1週間は控えていただきます。
動作
椅子には深く座り、長時間座ったままにならないよう、1時間経ったら軽く体をほぐす時間を5分程度設けましょう。
痔の再発防止のために
排便習慣を見直す
- 便意を感じたら我慢しないでトイレに向かい排便しましょう
- 便が出てこなくて強くいきむ癖はやめましょう
- 排便の際はいきみ過ぎず、5分以内で終わらせましょう
便通を良くする
- 運動習慣を身に付ける(軽めの運動にとどめる)
- 刺激の強いものは適量を心がける
- 医師の指示に従い、体重の管理を行う
- 足や腰の冷えを防止する
- 水分をこまめに摂取して、食物繊維の多い食事を心がける
- 飲酒する量を調整して飲み過ぎに注意する
- ストレス解消のためリフレッシュする時間を設ける
- なるべく毎日お湯に浸かって体を温め、血行を促す
- 疲れたら適度に休憩する
治療費用
ジオン注射療法(ALTA療法) | 約20,000円 |
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