Atheroma hernia当院の外科について
当院の外科では、一般的な外傷の治療や手術後の傷口のケアのほか、粉瘤や脂肪腫などの外来手術、鼠径ヘルニアの診察などを実施しています。
治療を行う際には、事前に治療内容や患者様にかかる負担を分かりやすく説明し、できる限り跡が残らないように丁寧に治療を行うことを心がけています。
その他、高度な治療や入院治療が必要と判断した場合には、当院と連携する高度医療機関にご紹介いたします。
Atheroma hernia粉瘤(アテローム)について
粉瘤とはアテロームや表皮嚢腫とも言われ、皮膚の下に老廃物などが蓄積して小さな浮腫ができる状態を指します。触れるとしこりのように感じます。
この浮腫は悪性腫瘍ではありませんが、放置すると巨大化し、炎症や化膿を起こすこともあるため、当院ではできるだけ早期に除去することを推奨しています。
粉瘤の症状
粉瘤は、袋状になった皮膚の嚢腫壁が皮膚下にでき、その中に皮脂や角質などの老廃物が蓄積することで生まれます。
体のあらゆる部分にできる可能性がありますが、特に頭や顔、背中、お尻にできやすい傾向があります。
通常であれば特に痛みや違和感はありませんが、放置すると細菌に感染して炎症を起こした炎症性粉瘤となり、痛みや腫れ、急激な巨大化を起こすこともあります。また、粉瘤が繰り返しできることで癒着を起こすこともあります。
巨大化してから切除手術を行うと傷跡が残る恐れもあるため、できるだけ早期に除去手術を行う方が良いとされます。
ただし、しこりの状態の際に自己判断で潰してしまうと、患部が損傷して細菌感染を起こしやすくなるため、注意しましょう。
粉瘤の原因
粉瘤ができる原因ははっきりとは明らかになってはいませんが、怪我やピアスなどによる外傷のほか、ヒトパピローマウイルス感染などが考えられています。
また、発症には個人差もあることから、もともとの体質も関与している可能性が考えられます。
粉瘤の検査と治療
まずは問診や視診、触診を行って診断します。
薬物療法では根治が難しいため、治療は主に切除手術となります。
手術では、局所麻酔を行ったのちに、皮膚を切開して皮膚下の袋ごと粉瘤を摘出するため、痛みはほとんど感じません。
完全に摘出できれば再発の恐れはありませんが、患部が細菌やウイルスに感染して重度の炎症を起こしている場合や、何度も再発を繰り返している場合には、手術での全摘出が難しいケースもあります。
ただし、できる限り中の袋を摘出しておくことで、その後の再発を抑制することができます。
この場合には、皮膚を切開して粉瘤内の膿などの内容物を除去し、炎症を抑えて症状の緩和を目指します。
当院では、患者様のご希望に合わせて局所麻酔を使用し、専門医による苦痛を抑えた手術が、日帰りでできます。お気軽にご相談ください。
Atheroma hernia鼠径ヘルニアについて
鼠径とは胴体と太ももの境目を指し、鼠径ヘルニアとは腸などの臓器が何らかの原因によって正常な位置から鼠径部の皮膚下に移動している状態の病気です。脱腸と呼ばれることもあります。
長時間立った状態ののちに、重いものを持ち上げるために腹部に急に力を入れた際などに発症するケースが多く見られます。
自然治癒や薬物療法では改善しないため、治療は外科手術となります。鼠径ヘルニアになると日常生活に大きな負担が生じるため、できるだけ早期に医療機関を受診して治療を開始するようにしましょう。
鼠径ヘルニアの症状
鼠径ヘルニアの主な初期症状は鼠径部の膨らみや違和感で、痛みは特に感じません。初期の段階では自身で膨らんでいる部分を手で押したり、横になるなどすると膨らみがなくなる特徴があります。
ただし、放置して症状が進行すると痛みが生じ、膨らんでいる部分を手で押しても戻らなくなります。
その他では、患部が突っ張る症状や便秘を併発することもあります。 手で押しても膨らんでいる部分が戻らなくなると、嵌頓(かんとん)状態の鼠経ヘルニアとなります。
この状態まで進行すると、激しい痛みを伴うようになり、わずか数時間放置しただけで、腸の壊死や、命の危険を伴う腹膜炎の原因となる腸破裂を引き起こすため、緊急手術が必要となります。
できるだけ初期の段階で医療機関を受診し、早期治療を行うことが重要です。
鼠径ヘルニアの原因
主な原因は、加齢によって鼠径部の筋肉が薄くなり、穿孔を起こすためと考えられています。
特に男性の場合は、胎児の段階で鼠径部に睾丸(こうがん)が通るために、元々鼠径部の筋肉が弱く、鼠径ヘルニアを発症するリスクが高いです。
そして、重いものを持つ、激しい咳、便秘など腹圧に負担がかかる行動などがきっかけとなって発症するケースが多く見られます。
また、近年では、腹腔鏡手術を行った際に腹部に注入したガスによって、腹圧が上昇することで、鼠径ヘルニアを発症するケースも報告されています。
なお、鼠径部の筋肉はトレーニングでは鍛えることができないため、完治には手術治療が必要となります。
鼠径ヘルニアになりやすい人
- 40歳以上の男性。
- 複数回出産経験のある女性
- 長時間の立ち仕事や力仕事をしている
- 喫煙習慣がある
- 慢性的な便秘状態にある
- 喘息などが原因で咳込むことが多い
- 肥満症と診断されている
- 過去に腹腔鏡手術を受けたことがある
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
を患っている
鼠径ヘルニアの治療
前述通り、鼠径へルニアの治療は外科手術のみとなります。
初期の段階では急いで治療する必要はありませんが、自然治癒することはなく、放置すると徐々に病状が悪化して重症化します。
長期間放置すればするほど手術の難易度が上がる傾向があり、高齢者の場合は手術への危険性も増大するため、できるだけ軽症の段階で手術治療を行うことを推奨しています。なお、通常は手術は日帰りでも可能です。
※ヘルニアの大きさ、種類によっては入院での治療を要することがあります。
手術法について
鼠径へルニアの手術では、ヘルニア門と呼ばれる筋肉や靭帯の穴から脱出したヘルニア嚢(腹膜)を正常な位置に戻すか、切除し、その後ヘルニア門を塞いで再発を起こさないようにします。
ヘルニア門を塞ぐ方法は、メッシュという人工の網を使用するのが一般的ですが、嵌頓ヘルニアにまで病状が悪化している場合には、筋肉や靭帯に直接縫合を行うこともあります。
手術の方法は、腹部に小さな穴を開ける腹腔鏡下修復術と皮膚を切開する鼠径部切開法の2種類があります。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらの手術法を選択するかは患者様の状態や年齢等を考慮して選択します。
なお、いずれの場合でも日帰り手術が可能です。
現在は鼠径部切開法を主流として、手術時間を短く、帰宅までの時間を最短にする手術法を推奨しております。