肝臓外来

Liver-outpatient 肝臓外来

Liver-outpatient当院の肝臓専門外来
について

当院の肝臓専門外来について

当院の肝臓専門外来では、肝臓内科専門医が、豊富な経験をもとにB型肝炎やC型肝炎、脂肪肝、肝硬変などの様々な肝臓疾患の診療を行っております。
一般的に肝臓は沈黙の臓器と言われます。なぜなら、肝臓は何らかの障害を患っても、他の正常な機能が補うため、自覚症状が現れず、本人も気づかないうちに病状が進行する特徴があるからです。
例えば、肝臓疾患の中でもよく見られる症状としてB型肝炎やC型肝炎がありますが、放置するとその後慢性肝炎を引き起こし、さらに進行すると肝硬変や肝臓がんなどの命の危険を伴う重篤な病気へと進展する恐れがあります。
このように、多くの肝臓疾患は早期発見・早期治療が重要であり、そのためには定期的に肝機能検査や腹部超音波検査を行って自身の状態を把握しておくことが大切です。

このような症状がある方は
ご相談ください

  • 顔や白目が黄色く変色している
  • 白い便が出る
  • 十分な休息や睡眠をとっても疲労が抜けない
  • 最近食欲が減退気味である
  • 過度な飲酒習慣がある
  • 現在肝炎ウイルスに感染している
  • 血縁者に肝炎ウイルスに感染している人がいる
  • 健康診断等で肝機能の異常を指摘された

など

Liver-outpatient「肝臓」は普段どんな
はたらきをしているの?

「肝臓」は普段どんなはたらきをしているの?

肝臓は右上腹部に位置し、重量も約1.5kgと全ての臓器の中でも最も大きく、我々の生命維持に欠かせない、多くの役割を担っている臓器です。
肝臓は約1000種類の酵素を使って500種類以上の化学反応を起こし、栄養素の分解・再合成やエネルギーの貯蔵、免疫機能のコントロール、アルコールや薬の解毒、胆汁の分泌などを行っています。
仮に人1人の肝臓を人工的に作るとしたら東京23区ほどの規模の工場が必要と言われるほど、非常に優れた臓器です。

物質の代謝

肝臓は、主に生命維持に必要な様々な物質の代謝機能を司っています。
具体的には、食事などで摂取した糖分を、グリコーゲンに変換して貯蔵し、血糖値が低下した際にはこれをグルコースに変換して血液中に放出することで、血糖値が正常に保たれるようコントロールしています。
また、肝臓では様々な物質の生成も行われています。体内のコレステロールの約7割を生成し、その他にもアルブミンや出血箇所を凝固する物質の生成も行われています。
そのため、糖尿病や脂質異常症、高コレステロール血症などの代謝異常の病気の多くは、肝臓の異常に関与していることが多く、これらを予防する上でも自身の肝臓の状態を常に把握しておくことが大切です。

解毒

肝臓には人体にとって有害な物質を無害な物質に変換する役割があります。
例えば、タンパク質やアミノ酸を分解する過程で発生するアンモニアを尿素に変換したり、アルコールや薬を解毒して胆汁や尿として放出するなどの働きがあります。

胆汁の生成

肝臓は胆汁を生成して胆管に分泌し、その胆汁は胆嚢で濃縮されます。
この濃縮された胆汁には、膵液とともに、十二指腸で過剰な脂肪を消化・吸収する働きがあります。

Liver-outpatient20代~40代で肝機能
(AST・ALT・γ-GTP)が
ひっかかったら?

血液検査で何が分かる? 
健診検査結果の見方

AST(GOT)・ALT(GPT)

肝臓の状態を把握する上で有効な検査は、血液検査になります。
肝臓が何らかの原因によって損傷を起こすと、ASTとALTという物質を大量に血液中に放出する特徴があります。
そのため、血液検査によってこのASTとALTの数値を調べ、これらが上昇している場合には、肝臓に何か問題が生じていることが分かります。
ただし、すでに肝硬変を発症している場合などでは、肝臓が損傷を起こしていてもASTやALTが上昇しないケースもあります。
なお、ASTは赤血球や筋肉にも存在する物質であるため、ASTだけが上昇してALTの上昇が見られない場合には、肝臓以外に問題が生じている可能性が高いと判断できます。

γ-GTP

γ-GTPは一般的に過度な飲酒習慣などによって上昇する数値という認識がありますが、その他にも肝臓や胆道、膵臓に何らかの障害が起きた際にも上昇する特徴があります。
なお、胆道に問題が生じている場合にはγ-GTPとともにALPという数値も上昇するため、原因を特定できます。
また、γ-GTPは近年増加傾向にある脂肪性肝炎や非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)によっても上昇する特徴があります。

総ビリルビン

ビリルビンとは、役目を終えた赤血球が壊れる際に発生する黄色い色素で、肝臓の状態を把握する指標の一つです。
ビリルビンには「間接ビリルビン」と「直接ビリルビン」の2種類があり、これらを合計したものを「総ビリルビン(T-BIL)」と言います。
間接ビリルビンとは、血液中に発生したビリルビンが肝臓で処理される前の状態を指します。一方、直接ビリルビンとは、肝臓で処理された後に胆汁として胆道に排出されたものを指します。
そのため、肝臓に障害が起きて処理機能が低下すると、血液中の間接ビリルビン量が増加し、皮膚や白目が黄色く変色する黄疸という症状が現れるようになります。
ビリルビン量が増加する原因として考えられる病気には、肝炎や肝硬変、肝がん、胆道系の疾患、体質性黄疸などが挙げられます。

当院で可能な検査

当院で可能な検査

当院では、血液検査と画像検査によって肝臓の状態を確認します。
血液検査を行うことで、B型肝炎・C型肝炎の感染の有無や肝機能の状態、肝臓の炎症度合い、腫瘍マーカーについて確認することができます。
一方、腹部超音波検査やCT検査などの画像検査を行うことで、胆石や脂肪肝、肝硬変、肝細胞がんといった肝臓疾患の有無を確認することができます。
健康診断や人間ドック等で肝機能の異常を指摘された場合には、B型肝炎やC型肝炎の感染が疑われるため、できるだけ早期に医療機関を受診しましょう。
当院では、各種精密検査を実施して原因を特定し、患者様一人一人に最適な治療法をご提案いたしますので、気になる症状が現れている場合にはぜひ一度ご相談ください。

Liver-outpatient肝臓外来でよくある病気

B型肝炎

B型肝炎とは、血液や体液を介してB型肝炎ウイルスに感染することで肝臓が炎症を起こす病気です。
主な感染ルートは、刺青や針などによる刺し傷、性交渉、また母親からの母子感染などが挙げられます。
B型肝炎は、一時的に感染しても自然治癒するケースがありますが、中には劇症肝炎など重篤な症状へと進展する恐れもあります。また、3歳未満の乳幼児期に感染が確認されると、生涯に渡って持続感染し、慢性B型肝炎へと進行する可能性があります。慢性B型肝炎は、その後肝硬変や肝臓がんへ進展する恐れがあるため、注意が必要です。
慢性B型肝炎になると、体内のウイルスを完全に除去することは難しいですが、近年ではインターフェロン療法やウイルスの活動を抑制する治療などにより、肝硬変や肝臓がんへの進展を抑えることが可能となっています。

C型肝炎

C型肝炎とは、C型肝炎ウイルスに感染することで肝臓が炎症を起こす病気です。
慢性化しやすい傾向があり、放置するとその後、肝硬変や肝臓がんなど重篤な病気へ進展する可能性が高い感染症です。
主な感染ルートは、刺青や針などによる刺し傷、注射針の使いまわしや輸血などずさんな医療管理、また母親からの母子感染などが挙げられます。
ただし、B型肝炎より感染力は弱く、性交渉などが原因で感染が拡大することはほとんどありません。
C型肝炎は、自覚症状に乏しく本人も感染に気づかないケースが多く見られますが、中には、初期の段階で発熱や食欲減退、倦怠感などの症状が現れることがあります。

アルコール性肝障害

アルコール性肝障害とは、過度な飲酒習慣を長期間継続することで発症する肝臓疾患です。
発症が確認されると、禁酒しても1か月以内に死に至ると言われる危険な病気です。
長期に渡る過度な飲酒習慣を継続すると、肝細胞に中性脂肪が蓄積して肝臓が肥大化し、肝臓が機能低下を起こして、アルコール性肝炎やアルコール性脂肪肝、アルコール性肝線維症などを引き起こします。
さらに病状が進行するとアルコール性肝硬変へと進展し、慢性的な倦怠感や腹部膨満感、腹水、黄疸などの症状が現れるようになります。

脂肪肝

脂肪肝とは、肝臓に脂肪が蓄積する病気です。
主な原因は、過度な飲酒や肥満、糖尿病、脂質異常症、薬による副作用などが挙げられます。
自覚症状に乏しく、本人も気づかずに発症しているケースが多く見られます。
また、近年では飲酒習慣がないにもかかわらず脂肪肝となる、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が増加傾向にあります。非アルコール性脂肪肝炎は男性の40%、女性の20%が発症していると言われており、通常の脂肪肝とは異なり、発症者の10〜20%がその後肝硬変や肝臓がんへと進展するという報告もあります。
脂肪肝の有無は、血液検査や腹部超音波検査を行うことで確認することが可能です。
検査の結果脂肪肝と診断された場合には、節酒や禁酒、食事習慣の改善、運動習慣の取り入れなど生活習慣を見直すことが必要となります。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とは、普段アルコールを摂取する習慣がほとんどないにもかかわらず脂肪肝となる病気です。
主に肥満やメタボリックシンドロームを発症した人に多く見られる傾向があります。
また、アルコール性肝炎と同様に自覚症状に乏しいために本人も気づかないことが多く、放置して病状が進行する肝硬変や肝臓がん、糖尿病などへと進展する可能性があります。
非アルコール性脂肪肝の診断では、肝細胞を採取して生検にかけ、詳しい状態を確認します。
主な治療法は、薬物療法とともに根本的な原因となっている肥満やメタボリックシンドロームを解消するための生活習慣の改善を行います。

肝硬変

肝硬変とは、肝細胞が再生と壊死を繰り返す病気で、一度発症すると肝臓が元の状態に戻ることはありません。
前述通り、肝臓は有害物質の解毒や過剰な糖分の貯蔵、必要時にグルコースの放出、タンパク質・アルブミン・血液の凝固因子の生成など多くの役割を担っている臓器です。そのため、肝硬変によって肝臓の機能が低下すると、生命維持に重大な支障をきたすようになります。
主な症状は黄疸や慢性的な倦怠感、腹水、意識障害などで、食道静脈瘤や肝細胞がんなどを合併する恐れもあります。また、進行すると肝不全に至る場合があります。
肝硬変は根治が難しいため、普段から定期的に腹部超音波検査などを行って自身の肝臓の状態を把握しておくことが大切です。

肝細胞がん

肝細胞がんは、肝細胞ががん化した状態の病気です。
日本人の主な原因は、B型肝炎が約10%、C型肝炎が約60%、アルコール性肝障害や非アルコール性脂肪肝疾患などの非ウイルス性肝疾患が約30%と報告されています。
また、慢性肝炎や肝硬変も肝細胞がんの発症リスクを高めます。 特に近年では非ウイルス性肝疾患の割合が増加傾向にあります。
そのため、肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の予防が、肝細胞がんを予防する上では非常に重要になります。

自己免疫性肝障害

自己免疫性肝障害は、免疫システムが誤って自分の肝細胞を攻撃することで炎症を引き起こし、肝臓の機能に障害を与える病気です。
主に自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)があり、難病として指定されております。
症状としては、倦怠感や黄疸、腹痛などがあり、無症状のこともありますが、進行すると肝硬変や肝不全を引き起こすことがあります。
治療は免疫抑制剤やステロイドを用いて、進行を遅らせることが重要です。

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