- ミレーナ(避妊リング・IUS)とは
- ミレーナの効果は避妊だけではない?
- ミレーナの仕組み
- ミレーナの装着をおすすめするケース
- ミレーナが適用しないケース
- ミレーナとピルの違い
- ミレーナの装着方法と流れ
- ミレーナの挿入による副作用
ミレーナ(避妊リング・IUS)とは
ミレーナは、「レボノルゲストレル」という女性ホルモンを5年間にわたり持続的に放出する薬剤徐放システムで、子宮内に装着して使用します。
また、ミレーナは高い避妊効果を持つことで知られており、避妊手術を除いた避妊方法の中でも最も効果が高いとされています。
ミレーナの効果は避妊だけではない?
ミレーナは、黄体ホルモンの放出によって高い成功率を誇る避妊用具の1つとなっているばかりではなく、月経量が減少したり、無月経の状態になったりすることで、月経困難症や過多月経の辛い症状を改善してくれる効果を期待できます。
平成26年9月からは「過多月経」の治療薬として、また同年11月からは「月経困難症」の治療薬として保険適用が認められています。
月経困難症、過多月経の改善
ミレーナはT字型の小さな子宮内に挿入する用具ですが、T字の縦軸の部分に含まれている黄体ホルモン製剤であるレボノルゲストレルが、時間をかけてゆっくりと子宮内に放出します。この効果により子宮内膜が薄いままとなるため、月経量が減少、または月経が無くなり、月経痛など月経時のつらい症状が緩和されます。そのため月経困難症、過多月経の診断がある場合、ミレーナを保険適用で使用できます。
更年期障害に対する効果
ミレーナによって更年期障害への治療の負担が軽減する可能性があります。
更年期障害は、主に女性ホルモンのうち卵胞ホルモンであるエストロゲンが減少し、大きくホルモンバランスが崩れることによって、日常生活にも影響が出るほど重度になったものを言います。発汗やのぼせ、ほてりといった血管運動神経症状(ホットフラッシュ)が激しい場合、エストロゲンの補充療法を行うことになります。しかし、エストロゲンだけを投与すると子宮体がんのリスクが高くなってしまうため、子宮を切除していない方は、同時に黄体ホルモン(プロゲステロン)も投与します。
このとき、ミレーナを装用している方であれば、エストロゲンだけの投与で済むため、身体や経済面での負担も軽くなります。
避妊効果
ミレーナは、レボノルゲストレル(黄体ホルモン)によって子宮内膜の肥厚を防ぐことにより、受精卵の着床を防ぐ効果と、精子が子宮内に侵入しにくくすることの2つで高い避妊効果を得ることができます。ミレーナは1度装着すれば5年間は効果が持続します。
ミレーナの仕組み
ミレーナはT字型の縦軸内に円筒状の合成黄体ホルモン(レボノルゲストレル)が含まれており、それを少しずつ子宮内へ放出することで、避妊と月経にかかわる諸症状の緩和に働きます。
月経困難症や過多月経の方に対しては、黄体ホルモンの作用によって子宮内膜の肥厚を防ぐことで、月経量の減少や月経の停止、それにともなう辛い症状の緩和といった効果が得られます。
女性の身体は排卵の周期にあわせて、受精卵を着床しやすくするために子宮内膜が肥厚しますが、黄体ホルモンの投与によってこの子宮内膜の肥厚が無くなることで、受精卵は着床しにくくなります。同時に子宮口の粘膜の性質を変化させ、精子が子宮内に侵入しにくくなります。この2つによって高い避妊効果を得ることができます。
ミレーナの装着をおすすめするケース
- 月経時の辛い症状があり、 月経困難症 や過多月経と診断されている方
- 低用量ピルが服用できない方(副作用がひどい、血管障害や糖尿病ながある、重度の喫煙など)
- 女性側が主体的にできる避妊方法を探している方
※月経困難症と過多月経の確定診断がある方の場合、健康保険適用でミレーナを使用できます。
ミレーナが適用しないケース
- レボノルゲストレルなどミレーナの主成分や物質に過敏症の既往症がある方
- 不正出血が認められる方
- 妊娠中、またはその可能性がある方
- 現在、性感染症に罹患している方
- 3ヵ月以内に性感染症の罹患歴がある方
- 子宮内膜炎や卵管炎などに罹患している方
- 3ヵ月以内に感染性の流産または、分娩後子宮内膜炎の既往症がある方
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)の既往症がある方
- 重篤な肝障害や肝臓病のある方
- 骨盤内臓に炎症性の病気がある方
- 腟や子宮頸管に炎症(腟炎、子宮頸管炎)がある方
- 黄体ホルモン依存性のがんやその他のがんにかかっている方
- 子宮に位置的・形態的な異常がある方
- IUD(子宮内避妊用具)などを装着した際に強い痛みを感じたことのある方
ミレーナとピルの違い
ミレーナ | ピル |
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ミレーナの装着方法と流れ
診察
問診にて、出産経験の有無や既往症等について詳しくお伺いし、その上で医師による診察、性感染症の検査や超音波検査などを行います。
これらの診察や検査によってミレーナによる治療が適用となれば、施術を行うことになります。
施術
月経の始まった日を1日目として、経血の減ってくる4~7日目を目途に装着します。子宮の入り口からミレーナを装着します。
施術自体は数分で終わります。経産婦の方は子宮口が開いているため一般的に簡単に装着できますが、出産経験がない方は、挿入できない場合もあります。
定期検診
装着後1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月を目安に定期検診にご来院いただきます。12ヵ月以降は1年に1度定期検診を行います。
ミレーナの挿入による副作用
※これ以外に極めて稀ではありますが、卵巣のう胞の破裂、異所性妊娠(子宮外妊娠)、骨盤内炎症性疾患(PID)による腹痛、子宮穿孔などの可能性が報告されています。